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FOX ROOM

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3-6/8up

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 良介と未来はブティックの中に居た。
『どれにする?』良介が聞く。
『う~~ん』
『ゆっくり決めなさい』
 頬を染めながら、未来は悩む。
『アレがいい』と一着を指差す未来、それを見て良介は店員に
『じゃあれを此処へ』と注文してしまう。
 ごくありふれた恋人たちの風景が広がっている。
 店員たちも、微笑ましそうに2人を見ていた。

 店を出ると、未来は言った。
『良介、私お母さんの所へ、暫く帰ってくるわ』
『ああ・・・行っておいで』くすっと良介が笑いながら言う。
『たっぷり甘えてくるわ♥』
『ああ』

この日未来は、家に戻って母と話していた!!
少し話は遡って
『未来如何したの?』
『甘えに来たの!!』と言って母に抱きつく未来!!
『ママにとっても大事な話しが合ってきたの!!』
 真剣な顔をして話し出す未来。
 母の顔が強張っているのが分かった!!

『未来?』
『ママ・・・』ごくりと未来の咽喉がなる。
 少し青ざめて話し出そうとする未来!!
『お願い・・・正直に答えてお義母さん・・・』
 驚愕に目を見開いて、未来を見つめる義母。
 未来は悲しそうに、義母を見つめる。

『何から話せばいの?』静に話し出す義母。
『お義母さん・・・すべて・・・私の事から・・・』

『そう・・・』
『未来』

 暫くの沈黙の後
『言って…今良介にとっていい話ならば…』
『未来…』
『お願い…今ならまだ間に合うの…』
 間をおいて話し始める義母…
『未来…ごめんね…在るのとってもいい話が…』
『良いの…どこかの病院の院長の娘との縁談ね?
そして将来の院長の座・・・』
 苦笑いをする未来・・・
『そうなのねやっぱり、今私は…いえ・・・』一粒の涙が未来の瞳から零れる。
『良いのよ未来』
 黙って耐える未来・・・
『ママ、の娘として…最後のお願いをします・・・』

目を見開いて聞き入る義母・・・

『とても残酷なお願いだとは、分っています・・・けれど良介のためには・・』
『未来貴女は…』
『お義父さんにもとてもお世話になりながら、何も出来ませんが…これだけが良介とお義父さんとお義母さんにできる、たった一つの事…』
『未来』
『許してください』
『未来』
『今の事よろしくお願いします…とても残酷な事をお二人には頼んでしまう事になってしまって、申し訳有りません』
『だ…』義母が話そうとするのを遮って、未来は尚話す。
『良…ごめんなさい…私が居たから…』
悲しい微笑みを浮かべ、未来は
『もう私の事は…お忘れください…二度と皆様の前には現れません…ごめんなさい…私が居た事が不幸の元でしたね…』
『未来・・・まさか・・・』
その問いに首を振って未来は答える。
『ありがとう、私は今まで幸せでした。
混乱しかもたらさない今の私ですが、許してください』
手を差し伸べようとする義母・・・だがしかしそれを遮って
『良介と私は婚姻届を書いて、私の卒業を待って、良介が届けを出す事になっていたの・・・今それは私の手に在ります・・・』
一気に言って溜息をつく未来。
『それは私が破って処分します・・・安心してください…ママ・・・』
『未来?』
『ありがとうママ、これでお別れです・・・』
 踵を返して去ろうとする未来。
『親不孝な私を許してママ』
 そう言い捨て小走りに玄関を駆け抜ける未来。
義母は固まったまま動けないで居た!!

 未来は河原に来ていた。
 手には婚姻届が握り締められている。
 涙が後から後から零れ落ちた。
「さよなら良介……さよならパパママ…二度とお会いしません」
 悲しい決意と共に、未来は婚姻届を破いていく。
 悲しい決意と共に敗れた婚姻届は、風に舞って飛び去っていく。
 それを寂しそうに何時までも目で追う未来が、そこに何時までも佇んでいた。
 


-TO BE CONTINUED-

近日中に更新



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